COLUMN
2020年8月12日
小さな組織のIT利用を改善する秘訣:今さらだけど知っておきたい、なぜクラウドを使うのか – その3
カテゴリー:ソリューション
劇的な進化が続くIT(情報技術)では、クラウドの活用が当たり前になっています。総務省が2019年5月に発表した平成30年通信利用動向調査では、58.7%の企業が利用していると回答しています。そこでは「ファイル保管・共有」「電子メール」「サーバー」などが上位を占めていますが、営業支援ツールや生産管理・物流管理でも利用が広がっています。
ここまで、クラウドの仕組みとメリットについて、かみ砕いて説明しました。今回は、小さな組織でクラウドをどのように活用していけばいいか解説します。 ここでいう「小さな組織」とは、中小企業や創業間もないスタートアップ、大きな企業や企業間のプロジェクトを指します。このような小さな組織は、デジタルテクノロジーの活用に共通の課題を抱えています。クラウドは、低コストで使いたいだけ利用できることから、小さな組織のIT活用にとっても強い味方になるでしょう。
おさらい:クラウドの特徴
クラウドサービスは、コンピュータの宅配サービスのように、使いたい時に使いたいだけ低コストで利用できるサービスです。
クラウドには、次のようなメリットがあります。
まず導入面では、導入期間を圧倒的に短縮できます。そして、その価格も大幅に安くなっています。このくらい手軽に利用できると、普段は最小限のシステム構成にして、アクセスや処理が増えてきたときだけ、コンピュータの増強が可能になります。不要になれば、そのバーチャルなサーバーを簡単に破棄できます。もちろん、インターネット経由で、どこからでも利用できます。
システム運用面でも、多くのメリットがあります。運用業務を圧縮し、運用コストを押さえることができます。また、信頼性も向上できますし、高いセキュリティを確保できます。さらに、購入したサーバーの陳腐化を避けられます。
小さな組織のIT利用の課題
でも、なぜ小さな組織がクラウドを利用する必要があるのでしょう。それは、小さな組織ならではの課題と関係しています。
多くの小さな組織は、「人材確保」「業務の効率化」「成果を上げる」といった課題を抱えています。しかし、ビジネスは成立していても、目先の業務を片付けるので精いっぱいで、このような課題を解決する余裕を生み出すことができないのが実情ではないでしょうか。
そこで有効な解決策のひとつが、ITシステムを活用して、ピンポイントで業務の改善を目指すことです。
しかし、ITシステムを活用したくても、「そのための人材がいない」「せっかくITシステムを導入しても、現場の工夫や業務の変化に追従できずに陳腐化してしまう」「ITシステムの開発に大きな資金の調達が必要。資産化してしまう。」といった、ITシステム化の課題が立ちふさがります。
つまり、ITシステムの硬直化が、業務改善の足かせになっているのです。
これを改善するためには、ITは投資ではなく、経費のようや小さな費用で進めて、変化に強い環境作りが必要になります。
小さな組織がクラウドを利用するメリット
このようなITシステム導入に最適なのが、クラウドサービスです。
クラウドは、使いたい時に使いたいだけ利用できるので、サーバーやOSなどのシステム運用を自分たちでやる必要はありません。ネットでどこからでも利用できるので、モバイルでも利用できますし、複数のパソコンにアプリをいちいちセットアップする手間もかかりません。
クラウドアプリケーションを導入すれば、システムの開発も不要になります。多くのツールは、機能追加やアップデートもクラウド側でやってくれます。
さらに、クラウドは、月額利用料による低コストで利用できます。そのために、大きな資金を調達することなく、経費のようや小さな費用でITシステムの導入を進めることができます。それに、うまくいかなければ、いつでもやめることができるんです。
信頼性:クラウドサービスは本当に信頼できるのか?
でも、GmailやLINEで身近に使っているとはいえ、業務に利用するのは、ちょっと不安もありますよね。そこでいくつかの懸念点について解説しておきましょう。
まず、信頼性の面で、クラウドサービスは本当に信頼できるのでしょうか。
じつは、自社で管理するよりも、専業サービスに任せた方が信頼性は高くなります。宅急便と同じレベルで自動車を整備・運用するのが大変なように、小さな組織がITシステムを専業サービスと同じよう運用するのは大変です。ましてや、IT人材を確保するのが難しい状況では、自分たちでITシステムを運用する体制を構築するのが困難でしょう。小さな組織ならなおさらです。
もしも、システム障害が起こった場合、自社で障害に対応する必要があります。クラウドサービスを利用する場合は、その時間分の費用が免除されます。
資産化:自社システムなら、使えば使うほどコストが安くなる?
それから、自社でITシステムに投資して資産化すれば、使えば使うほどコストが安くなるという考え方もあるでしょう。
でも、その発想には、同じシステムを長期間・費用をかけずに使い続けられるという前提が隠れています。現実には、費用をかけないと長く使い続けることができません。
なぜなら、企業を取り巻く環境は激しく変化しています。業務の効率化を狙う場合、硬直化したシステムは、すぐに業務の足を引っ張るようになるからです。
また、これまで自社でシステムを運用した場合に、あまりコストがかからないとしたら、それは担当者個人がPCやITについて自分で勉強しているからではないでしょうか。たとえば、今やパソコンでExcelを使ったりメールを送ったりするのは当たり前ですが、それは従業員が就職する前に自分で勉強してくるからですよね。会社は、その教育コストを負担していません。
でも、ITシステムの運用でそれを期待するのは、虫が良すぎる話です。そのようなやる気と技術力を持った人材は、他の企業からも引く手あまたなので、簡単には見つかりません。もしも見つかったとしても、すぐにより良い条件に引かれて転職していってしまうでしょう。
それなら、利用料を支払って外部のクラウドサービスを利用する方が簡単です。うまくいかなければ、クラウドなら使うのをやめることができますが、自社で購入した場合は、キャンセルできません。
柔軟性:本当に、クラウドアプリは、自社の業務に合わせて柔軟に利用できるのか?
そして、クラウドアプリは、本当に自社の業務に合わせて柔軟に利用できるでしょうか?
これは、選択するかクラウドアプリケーションに寄ります。
特定業務の専用アプリを利用すれば、その業務自体は効率化できるかも知れませんが、細かな機能をカスタマイズできるとは限りません。その場合は、自社の業務をアプリに合わせることになるでしょう。
また、複数のクラウドアプリを業務ごとに使い分ける場合、結局、クラウドアプリ間でデータを何度も再入力したり、処理結果をメールで知らせることになるかも知れません。
クラウドになった分だけシステム管理などは不要になるかも知れませんが、アプリケーションを使っているという意味では、あまり変化はありません。
そのために、自社の業務に柔軟に合わせたり、複数のアプリと連携したりできるツールを選択すると良いでしょう。手前ミソですが、Hexabaseがオススメです。
クラウドを使い始めるノウハウ
このようなクラウド環境を整えることができれば、あとはそれを活用して、本来の業務課題を解決してきましょう。
クラウドは変化に強く、使った分だけ費用を払えばいいので、小さな業務から始めていくと良いでしょう。同時に、業務を改善していくチームを育てていくのです。
IT専業でない多くの企業にとって、本来持つべき業務ノウハウは、ITシステムの運用や技術ではありません。それよりも本業に集中するため、小さなコストで手間をかけずにITシステムを業務に活用して、効率を上げることに集中すべきでしょう。
クラウドは、小さな組織のIT活用に最適な方法なのです。